コイズミ照明がDALIの器具を発表したのを皮切りに、オランダPHILIPSからは高天井用照明や屋内用定電流型DALI対応電源がリリースされ、つい最近ではDNライティングがDALI対応製品を最新のカタログに掲載するなど少しづつDALI対応器具が各社からカタログ品として販売される状況になってきました。
ところで、DALIは日本でも標準になるのか?という話をすることがあるのですが、ここ最近の感覚では「DALIは確実に照明制御の標準になる」と強く感じ、もはやこれは時代の流れで必須であると確信しています。
でもそれはDALIだからという必然ではなく消去法としてDALIしかないという理由なんだなと捉えています。
今日はそのことについて書いてみます。
DALIは消去法で照明制御の標準になる理由
ずばりそれは「照明業界以外の人たちによってメーカーごとに制御方式が違うと面倒くさいから」といった理由です。
照明器具メーカーにとって、それまで自社で制御機器を開発・商品化することによって、器具の販売と動作の保証、メンテナンスなどを含めて囲い込みをできていたので、そのビジネスを捨ててまでDALIにすることのメリットはあまり見当たりません。
しかし、昨今、IoTというキーワードをよく聞くように、いろんなものがインターネットにつながりデータのやりとりをすることによって、今までは放置されていた【非効率】な行動やエネルギーを自動的に【一番最適な方法】で制御することができる時代になりつつあります。
その【一番最適な方法】は【照明】という設備単体で判断されるのではなく、季節や時間、そこに存在し活動している人々、その他設備の稼働状況など、データとして収集できるありとあらゆる事象と過去の蓄積データなどを総合的に判断して、その時点における【一番最低な方法】が導かれます。
結果として、ある場所に設置されている照明はこの時点で10%で点灯するべき、100%で点灯するべきなどといった指示がくだされ、その指示を忠実に実行できる照明器具であることが求められるようになります。
その時に同じ照明設備でありながらも、メーカーによって制御方式が違って同時に使えないといったようなことは、外から照明をコントロールする側からすると使いにくくてたまりません。
結果として、メーカーに縛られずに照明を制御する方法としてDALI以外の選択肢が無いので、DALIが標準になるという流れです。
DALIが照明制御の標準になると求められるもの
DALIはアドレス64台まで、有線の信号線が必要で300m以内といった限界があり、DALI単体では使いにくいのでPhilipsやOsram、HelvarもそのDALIの弱点を解消し現場で使えるようにするための独自のシステムを持っています。
しかし、今後、照明は照明だけでなく他の設備機器と合わせて非常に複雑で細かいコントロールされるようになると、むしろDALIの単純さは逆に使いやすくなり、その上のシステムはかえって使いにくいものになります。
なぜならば、DALIは仕様が公開され、どんな命令を出せば何が起こるかが明確ですが、メーカーごとのDALIの上のシステムは仕様が非公開であるからです。
結果としてソフトウェア側からすると、できるだけシンプルなDALIのゲートウェイが求められることになります。
TCP/IPで接続でき、言われたとおりにDALIのコマンドをDALIのネットワークに送ってくれて、レスポンスを変な加工せずに返してくれる、ただただ素直なDALIとTCP/IPのゲートウェイが求められるであろうと。
シンプルなDALIゲートウェイ
現在、シンプルなゲートウェイとして一番近いのが、iLumTech社のDeeBridgeという商品です。
製品自体がIPアドレスを持ち、ソフトウェア側から一通りのDALIコマンドを送ることができます。
また、レスポンスも取得できるのですが、ここについてはまだまだ検証中です。これはわかり次第記事にアップします。
まとめ
時代の流れで照明は照明だけで考えることではなくなり、人口知能、ビッグデータ、IoTなどといったものとは無関係でいられない世界がやってきます。
しかし、照明をやっている私達は空間を立体的に捉えることができ、店舗であれば商品の売れ方、住居であれば人の心といったことまで考えてきたので、照明が他の何かと連動することで提供できる価値はむしろ広がり、今は実は大きなチャンスが来ているのではないかと思います。
ということで、個人や会社、照明業界だけでなく、様々な人たちと意見を交換することで、すばらしき未来を一緒に作っていきましょう。