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サーカディアンリズムと不適切な光によって罰を受ける未来

ここ最近、照明がデジタルでコントロールできるようになってきたことと、2種類のLED光源を使うことによって色温度を変化させる照明器具が市場に出てきたこともあってサーカディアンリズムが話題に登るようになりました。

サーカディアンリズムは日本語だと概日リズム(がいじつリズム)と呼ばれますが、簡単に言うと人間が朝、日が昇り起きて活動し、夜、日が沈み寝るという生活が送りやすい様に精神的にも肉体的にも変化が起こる周期のことを言います。

たとえば、朝、明るい光を浴びると意識が覚醒して仕事をバリバリこなすことができたり、夜、暗くなると脳内にメラトニンというホルモンが分泌され眠くなったりといったような働きです。

下記はWikipediaに掲載されている説明です。

概日リズム(がいじつリズム、英語: circadian rhythm サーカディアン・リズム)とは、約24時間周期で変動する生理現象で、動物、植物、菌類、藻類などほとんどの生物に存在している。一般的に体内時計とも言う。厳密な意味では、概日リズムは内在的に形成されるものであるが、光や温度、食事など外界からの刺激によって修正される。
動物では24時間の明暗の周期に従っており、完全な暗闇の中に置かれた場合には、24時間に同調しない周期となる。これをフリーランと呼ぶ。こうした非同調した周期は明暗などの刺激によりリセットされる。脳の視交叉上核が、体内のそうした周期に影響を与えているとみなされている。周期的でない周期におかれることによる概日リズムの乱れは、不快感のある時差ボケを単純に起こしたり、概日リズム睡眠障害となる場合がある。

概日リズム – Wikipediaより

サーカディアン・リズムとサーカディアン・センシティビティ

このサーカディアンリズムは光に影響を受けるのですが、光の波長によって影響を受けやすいものとそうでないものがあるのがわかっています。

波長ごとの影響の受けやすさで、一番大きいものを1、一番低い波長を0として感度のグラフにしたものを、Circadian Sensitivity(サーカディアン・センシティビティ:概日感度)といいグラフにすると以下のようになります。

circadian

こちらのグラフでは、一番サーカディアン・センシティビティが高いのが波長490nmの光、この波長の半分の感度になるのが450〜530nm、全体的にはおよそ400nmから600nmまでの波長域が人間の概日リズムに影響を与える光となります。

ブルーライトと各色の波長について

LED照明が普及してから、ブルーライトの問題について多くいわれるようになってきました。そして、ブルーライトの問題のひとつに先程あげたサーカディアン・リズムを崩し、眠りたい時に眠りにくくなるといったことがあります。

でも、ブルーライトとはいったいどの波長のことを言うのでしょうか?また、他の波長はどうなのでしょうか?

下は、red, orenge, yellow, green, blue, violetの6色についての波長域を4種類のソースからまとめたhe Physics Hypertextbookというサイトに紹介されている「Wavelength ranges for monochromatic light (nm)(単色の光の波長域)」という表です。

Color The Physics Hypertextbook

↓ 4種類のソースはこちら

1 CRC Handbook of Chemistry and Physics. 1966.
2 Hazel Rossotti. Color. Princeton University Press, 1983.
3 Edwin R. Jones. Physics 153 Class Notes. University of South Carolina, 1999.
4 Deane B. Judd. Goethe’s Theory of Colors. MIT Press, 1970.

Color – The Physics Hypertextbookから引用

この表を見るとブルーライトと呼ばれるのは、おおよそ420〜500nmあたりまでの波長域の光のようです。

ただし、先程のサーカディアン・センシティビティのグラフのピーク前後の450〜530nmの波長の光は、上の表だとブルーライトだけではなく緑の光も波長域にもかぶっています。

Color The Physics Hypertextbook

以上より、青や緑の波長域の光を照射するのは人のサーカディアンリズムに影響を与えると言えそうです。

まとめ

青や緑の光が人のサーカディアンリズムに影響を与えるといっても、今までは普通に青や緑の光が含まれているオフィスの蛍光灯の下で夜もバリバリ仕事をやってきたり、家庭でも丸い蛍光灯の下で暮らしてきたので、それがすぐさまどうこうということはないと思います。

しかし、照明が制御されることが当たり前になり、かつ、光が人間に与えるマイナスの影響などが周知されていくことによって、もしかしたら「夜22時以降にこのエリアで450〜530nmの波長域の光を出すと罰金!」みたいなことも起こるかもしれませんよ。タバコみたいにね。

ABOUT ME
中畑 隆拓
スマートライト㈱ 代表取締役。IoTソリューションの開発、スマートホーム&オフィスのコンサルティング、DALI,KNX,EnOceanなどのインテグレーションを行っています。

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