内閣府の発表している「Society 5.0」について考えるシリーズの「その2」です。
前回、「Society 5.0」というのは一言でいうと何になるのか?Society5.0のキーワードは空欄だけどどうしてなのか?といったことを考えてみました。
内閣府の科学技術政策「Society5.0」について考える 1|IoT-AI.net
今回は「Society5.0」のキーワードとなるべき言葉「サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合されたとは?」について考えてみます。
サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合されたとは?
「サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合されたとは?」をすごく簡単にいうと、「こんな風になったら便利だな」と思ったことが実現する社会のことです。
すごくざっくりとしてますよね。
では、内閣府が公開している「Society5.0」のサイトに紹介されている動画(これを見れば、未来がもっと楽しみになる!WEB限定ムービー)を例にして、「サイバー空間」と「フィジカル空間」というのは具体的に何のことをいっているのかをチェックしてみましょう。
もし、動画をまだ見ていない方は下記のリンクから動画をご覧ください。
ドローンのケースで考えてみる
この動画の流れをチェックして、サイバー空間かフィジカル空間かをわけてみました。
流れを順番にみていきましょう。
主人公が自宅で寝てるところに、スマートフォンにサイバー空間からデータが届き、音声で「10分後にお荷物をお届けします」と案内されます。
これについては、現在私達が利用している宅配便でも既に実現できていますよね。でも、私達が意識していないだけど、サイバー空間フィジカル空間がつながることによって、事前に荷物が届く前に案内がくるといったサービスが受けられます。
とはいっても、この動画のように10分前に届くような精度というのは羨ましい限りです。
スマートフォンからの案内を受けて、主人公が軒先へ向かいます。すると、ちょうどドローンが到着したところでした。
この時、ドローンは内蔵されているカメラを使って眼の前にいる主人公の写真を撮影します。同時にその画像を解析して、この人が荷物を渡していい人かどうかを判断します。
主人公は荷物を渡す人であったので、ドローンのシステムでOKが出て、主人公は荷物を受取ることができました。
主人公は荷物を開け、とてもうれしそうです。
新技術はドローンと受取人の判断
ドローンの動画に出ている新しい技術はドローンが家の軒先に荷物をもって到着するところ(ポイント1)、ドローンが受取人の顔を確認して荷物を渡していいかどうかを判断するところです。
ポイント1 : ドローンを使った配達
ドローンについては空からの撮影などで既に使われていますが、荷物を運搬することについては、安全や規制の問題などがあり、日本国内ではまだまだ試行錯誤状態です。
でも、アフリカのルワンダでは、カリフォルニア(米国)のスタートアップZiplins
社が既に、血液や薬品をドローンを使って配達するシステムを実用化しています。
Zipline — Lifesaving Deliveries by Drone
ポイント2 : 人の顔の認証
Facebookで自分や友人の写真をアップすると、自動的にタグ付けされるように、写真から誰なのかを判別する技術はますます発展しています。
下記リンクは中国の学校で、生徒達がちゃんとクラスに入ってきたかをチェックしている動画です。
Implications of living in a world of ubiquitous AI-driven facial recognition and computer vision. No possible way to skip class anymore. Class monitoring system clocks you in the minute you walk through the door. pic.twitter.com/tlEJwemurm
— Matthew Brennan (@mbrennanchina) January 21, 2019
まぁ、生徒の立場からすると「こんな風になったら不便だな」と思われる社会ですが。
新しい技術はサイバー空間とフィジカル空間
今ご紹介した、ドローンを使った配達や人の顔の認証は、サイバー空間にあるデータや判断のシステムを、逐一、フィジカル空間にあるドローンやカメラとやりとりすることによって実現できる機能です。
かつてそれを実現するためには、通信できるデータの量やそれに必要なコストが莫大になってしまうためにできなかったものの、データ通信速度の向上、通信や必要な機器のコストの低下などによって、現実的に利用できるレベルになってきています。
問題は従来そういった使い方を想定していなかった為に判断の難しい法律の問題や、これを行うことで発生する危険性などをどうやって解消していくかのところになっています。
「それは、いつもの毎日にやってくる、半歩先の未来」と公式サイトでも言っているように、コストや技術面では実現可能だけど、安全や法律といった面でどうやって実施可能な状況にもっていくかというところです。
でも、内閣府手動でこういった取り組みをしていることは、実施できるのはそう遠くない未来のはずです。
まとめ
以上、サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合されたとは?」ということについて、Society5.0のサイトで紹介されている動画の中のドローンの部分から、サイバー空間とフィジカル空間を分類してみて、流れを見てみました。
この「サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合されたとは?」という概念は、プログラミングをやっていない人にとっては、なかなか理解しにくいものなので、Society5.0のサイトで紹介されている案件を紐解きながら、解説をしていきたいと思います。