技能五輪と国際大会で課題として出題されるKNXについて調査をしており、その1番目の記事です。
技能五輪とは?
みなさんは技能五輪という言葉をきいたことがありますか?
私はKNXを仕事とするようになってから知ったのですが、簡単に言うとその名前のとおりスポーツではなく仕事で使うような技能を競技とした大会で、日本だけでなく世界の人々と競技を行う国際大会まである競技大会のことです。
中央職業能力開発協会のサイトでは、
技能五輪全国大会は、国内の青年技能者(原則23歳以下)を対象に、技能競技を通じ、青年技能者に努力目標を与えるとともに、技能に身近に触れる機会を提供するなど、広く国民一般に対して技能の重要性及び必要性をアピールし、技能尊重気運の醸成に資することを目的として実施する大会であり、昭和38年から毎年開催されています。幅広い職種を対象とする、唯一の全国レベルの技能競技大会です。偶数年度の大会は、翌年に開催される技能五輪国際大会〈唯一の世界レベルの技能競技大会(隔年開催)〉の選手選考を兼ねています。
とのことで、競技職種としては下記のとおり全部で42種類あります。
■機械系(9職種):
機械組立て、プラスチック金型、精密機器組立て、機械製図、旋盤、フライス盤、試作モデル製作、自動車工、時計修理
■金属系(5職種):
構造物鉄工、電気溶接、自動車板金、曲げ板金、車体塗装
■建設・建築系(10職種):
タイル張り、配管、石工、左官、家具、建具、建築大工、造園、冷凍空調技術、とび
■電子技術系(5職種):
メカトロニクス、電子機器組立て、電工、工場電気設備、移動式ロボット
■情報通信系(3職種):
IT ネットワークシステム管理、情報ネットワーク施工、ウェブデザイン
■サービス・ファッション系(10職種)
貴金属装身具、フラワー装飾、美容、理容、洋裁、洋菓子製造、西洋料理、和裁、日本料理、レストランサービス
技能五輪とKNX
設備制御のKNXが競技課題として登場するのは、【電子技術系】の中の【電工】の競技。
ただし、日本で開催される全国大会にはKNXは競技課題として出題されないので、日本の選手達は、国際大会に出場することになって初めて、競技としてのKNXを行うという形になります。
技能五輪の電工
技能五輪の競技課題は中央職業能力開発協会のサイトにて公開されており、その中から代58回大会の電工の課題(カテゴリー1)をみてみましょう。
第58回 16.電工 : 中央職業能力開発協会(JAVADA)
■動力設備配線工事
1. 押しボタンスイッチ(PB1,PB2)及びタイマ(TLR1,TLR2)により,電動機(M)の正逆転運転制御ができるように配線すること。制御の詳細は以下の通りとする。
2. 押しボタンスイッチ(PB1)を押すと,電動機(M)が正転運転を開始する。タイマ(TLR1)設定時間経過後,電動機(M)が逆転運転を開始する。タイマ(TLR2)の設定時間経過後,電動機(M)が停止する。
3. 電動機(M)は,いかなる運転動作状態にかかわらず押しボタンスイッチ(PB2)を押すことで停止できる。
4. 表示灯(PL1)は制御回路電源入力時に,表示灯(PL2)はサーマルリレーが動作した時に,表示灯(PL3)は電動機(M)が正転運転時に,表示灯(PL4)は電動機(M)が逆転運転時にそれぞれ点灯すること。
5. 動力制御盤用ボックス内の機器の配置および端子台の指定については別紙 2 に,動力制御回路の配線については別紙 3 にしたがうこと。
6. 動力制御盤用ボックス内の端子台から,各表示灯および押しボタンスイッチに至る配線には600V ビニル絶縁電線 1.6mm の赤線を使用すること。ただし,L2 に至る電線については 600V ビニル絶縁電線 1.6mm の白線を使用すること。
7. サーマルリレーの設定電流値およびタイマ(TLR1)および(TLR2)の設定時間については競技当日決定する。
■照明コンセント設備配線工事
1. 正面作業板および左側面作業板における非公表部分については,競技当日に公表される指示にしたがって照明・コンセント設備配線工事を行うこと。
2. 小型 PLCを用いた制御では,押しボタンスイッチ(PB1,PB2,PB3)を操作して電灯(A,B,C)の点滅を行う。競技当日に公表される制御内容通りに動作するプログラムを小型 PLC に入力すること。小型 PLC 制御盤内の機器の配置および端子台の指定については別紙 4 にしたがうこと。
課題をみたところ、国際大会では照明コンセント設備配線工事で出題されるようなPLCの部分がKNXになっているのか、それとも制御全体がKNXになっているのか未確認ですが、後日、国際大会の電工の課題を確認しながら、KNXがどのように出題されているのかを調べていきます。
まとめ
技能五輪についての紹介と、全国大会の電工の課題について確認し、これが国際大会だとどのようになっているのかを考えてみました。
次回は国際大会の課題をチェックしながら、KNXのどのようなスキルが必要なのかを検証してみたいと思います。