DALI機器を探すときにマスターとスレイブという言葉が出てきます。
この概念、私も最初に勘違いしていたので、どういったものなのかということを説明してみます。
DALIの仕組み
DALIのマスターとスレイブについて学ぶときに、そもそもDALIの仕組みがどうなっているかを知っておく必要があります。
DALIの信号は2芯の線でそれぞれの機器をつなぎ、そのライン上にどの機器に命令を出すのかという[Where to]の情報と、何をするのかという[info]の情報が流されます。
「鳥谷さん起立してください」と「鳥谷さん着席してください」
簡単に小学校のクラスの例で説明します、
先生が「鳥谷さん、起立してください」と命令をしている様子です。こう言われて、鳥谷さん以外は何もしませんが、鳥谷さんは起立します。
この「鳥谷さん、起立してください」をDALIの信号っぽく書くとこうなります。
Where to → 鳥谷
info → 起立
次に先生が「鳥谷さん、着席してください」と命令を出すと、鳥谷さんが着席します。
「鳥谷さん、着席してください」をDALIの信号っぽく書くと
Where to → 鳥谷
info → 着席
となります。
「アドレス0の照明を点灯」と「アドレス0の照明を消灯」
では、照明の話に戻ります。
アドレス0の器具を点灯しなさいという時は、
Where to → アドレス0
info → 点灯
となり、データの形式は、[ アドレス0, 点灯 ] となります。
同様にアドレス0の器具を消灯しなさいという時は、
Where to → アドレス0
info → 消灯
となり、データの形式は、[ アドレス0, 消灯 ] となります。
こういった命令が、DALIのネットワークに流れ、該当する照明器具が点灯したり消灯したりといった動きになります。
命令を出すのがマスター、命令を受けるのがスレイブ
[Where to]が誰に、[info]何をするか?という命令の形式になるのですが、先程のクラスの例では命令を出す先生がマスター、命令を受ける鳥谷さんがスレイブとなります。
照明の場合、スレイブは点灯したり消灯したりする照明器具ですが、命令を出すマスターはスイッチになります。
つまり、
DALIマスター → DALIの命令を送る機器
DALIスレイブ → DALIの命令を受けて動作する機器
といったものになります。
日直の福留さんのケース
さて、ではこんなケースはどうなるでしょう?
日直の福留さんが「全員、起立、全員、礼、全員、着席」と号令した場合です。
答えは、
福留さん → マスター
他のクラスの子どもたち → スレイブ
になります。
もし、先生も一緒に号令に従い、起立、礼、着席をすると、先生もスレイブになります。
人感センサー付き照明器具もマスターになりえます
照明の世界に号令をする日直は存在しませんが、似たようなケースに「人感センサー付きの照明器具」があります。
センサーの状況によって「全員、点灯」とか「全員、消灯」といった命令を送る場合、このアドレス3の人感センサー付き照明器具が、先程の日直の福留さんと同じようにDALIマスターになります。
DALIの設定をするのはマスターじゃなくてDALIコンフィグレーターです
実は最初、DALIマスターというのはいろんな設定をする装置のことを言うと思っていたのですが、それは「DALIマスター」ではなく「DALIコンフィグレーター」といいます。
コンフィグレーション(設定)をするものという意味で、DALI機器のアドレスやグループ、シーンの設定などをおこないます。
私が普段使用しているのはTridonic社のUSB DALIという商品で、MasterConfigratorというソフトで設定をしながらUSB DALIでパソコンとDALIネットワークを接続します。こちらの商品は、日本ピー・アイでも取り扱っておりますのでご興味ある方は連絡ください。
まとめ
以上、DALIのマスターとスレイブという機器の分け方についてご説明しました。
マスターとつくと何でもできそうなたいそうなもののイメージですが、実際はDALIのコマンドを送ることができるもののことなので、シンプルなスイッチであってもマスターになります。
DALIの場合は、実際に自分でいじってみないと、なかなか理解するのは難しいので、興味ありましたらお気軽にご連絡ください。