知り合いから、DALIで照明を制御する場合、具体期になにを用意すればよいのか?という質問をいただきましたので説明したいと思います。
DALIによる照明制御システム図
こちらをご覧ください。DALIによる照明制御システム図です。
ぱっと見て、照明器具やセンサー、スイッチなどは何をするものなのか予測がつきますが、なにやら見慣れぬものがいくつかあります。
また人によって製品を指す言葉が違ったりするので、DALIの話をする際は、言葉の定義をしっかりすると理解し易く誤解もうまれません。
では、DALI機器を分類する3つの言葉の定義について説明します。
DALI機器はシステム・マスター・スレイブの3種類
DALI機器を大きくカテゴリにわけると、システム機器、マスター機器、スレイブ機器の
3つになります。これについて説明します。
システム機器
DALIにおけるシステム機器とは、DALIのシステムを運用するための機器のことです。
以下の機器があります。
- DALI BUS電源
- DALIコンフィグレーター
DALI BUS電源
システム機器で欠かせないのは「DALI BUS電源(ダリバス電源)」です。
特にLEDを点灯させるためのDALI電源と混同されることが多いのでお気をつけください。
DALIは信号線で各機器を接続しますが、その信号線でつないだネットワークを有効化するためにこの「DALI BUS電源」が必要になります。
もしこの「DALI BUS電源」が無いとどうなるかというと、DALIが動きません。
この信号線のネットワークを有効化するためだけの電源の存在は、慣れていない方が多いので、「DALI BUS電源」が用意されているかどうかは必ずチェックしましょう。
ただし、Helvar社のDALIルーター「Digidimシリーズ」や「KNX-DALIゲートウェイ」の様に、製品に「DALI BUS電源」の機能が内蔵されているものがあり、そういった場合は別途「DALI BUS電源」を用意する必要はありません。
Sunricher DALI BUS電源: SR-2400P
DALIコンフィグレーター
DALIにおいて、器具のアドレス、グループ(回路)分け、シーンなどの設定を行うことをコンフィグレーションと言います。
DALIコンフィグレーターという機器をPCに接続し、専用のソフトウェアでコンフィグレーションを行います。
一般的には導入時や設定変更時に使用しますが、照明器具の不具合で交換を行った際にも必要になることがあります。
Tridonic DALIコンフィグレーター / Tridonic DALI/USB
マスター機器
DALIのコマンドを送るものを「マスター機器」と言います。
以下の機器があります。
- DALIスイッチ
- DALIセンサー
わかりやすく言えば照明を変化させる命令をする機器を「マスター機器」と言います。
一般的に照明制御というと、DMXの様に1台の司令する機器から各照明器具が言われたとおりに変化する中央集権的なイメージがありますが、DALIの場合はちょっと違います。
どのように違うのかは、まずDALIの「マスター機器」にはんなものがあるかを知るとよいです。
DALIスイッチ
たとえば、スイッチ。
スイッチは、照明を点灯させたり消灯させたり、調光したり、シーンを呼び出したり、まさに「照明を変化させる命令をする機器」です。
なので、DALIにおいてスイッチは「マスター機器」になります。
でも、そうするとスイッチが複数台ある場合はマスターが複数になるけどいいの?、と思うかもしれません。
それなら、大丈夫です。DALIでは複数のマスターがいることが普通です。
その説明をする前に、次の「マスター機器」、「DALIセンサー」について紹介させてください。
DALIセンサー
センサーの役割は、照度を測定して明るかったら照明を暗くしたり、人の存在を検知したら照明を点灯させたり、まさに「照明を変化させる命令をする機器」になります。
つまり、DALIでは「センサー」も「マスター機器」になります。
DMXと違いDALIにはマスターが複数いても成り立つ理由
DMXと違いDALIにはマスターが複数いても成り立つ理由は、
DMX → 信号を常に送り続けている
DALI → 変化させる時だけ信号を送る
です。
つまり、DMXは常に信号を送り続けているので、信号を送る機器が2つあると混乱してしまいますが、DALIは状態に変化があった時だけ信号が送られるので、照明器具は受け取った信号にのみ対応すればよいということになります。
このことについては、また別途記事を書きますので、なんとなくそうなんだなというふうにい覚えておいてください。
スレイブ機器
DALIのコマンドを受け取るものを「スレイブ機器」と言い以下の機器があります。
- DALI照明器具
- DALI電源
- DALIコンバーター
DALI照明器具
DALIのコマンドを受け取り、点灯したり消灯したり、明るさを変化するDALI照明器具はスレイブです。
DALI電源
DALI照明器具と同じ。
DALIコンバータ
DALIで制御できないLEDを使用する場合、電源とLEDとの間にDALIコンバータを使用します。
こちらのDALIコンバータもスレーブ機器となります。
DALIで照明を制御する場合に必要なもの
以上、DALI機器をシステム機器、マスター機器、スレイブ機器の3つのカテゴリで紹介しました。
この3つのカテゴリの中で、
○ : DALIプロジェクトで必要な機器
△ : 絶対ではないが、現場の要望や状況に応じて必要な機器
を表にしました。
カテゴリ | 機器名 | 必要性 | コメント |
---|---|---|---|
システム | DALI BUS電源 | ○ | 必ず必要。この機能を有している製品もあります。 |
コンフィグレーター | △ | DALIの設定変更を行う時に必要。運用中は必要ない | マスター | スイッチ | ○ | 照明の制御に必要 |
センサー | △ | 物件に応じて。センサーはメーカーのツールでないと設定できないことがあるので注意 | |
スレイブ | DALI照明器具 DALI電源 |
○ | |
DALIコンバーター | △ | DALI対応していない器具を使うときに必要 |
まとめ
以上、DALIで照明を制御する場合、具体期になにを用意すればよいのか?という質問をいただいたので、DALI機器のカテゴリの分類と、それぞれの機器の必要性をご紹介いたしました。
なにか、ご不明な点、DALI機器の仕入れの相談などありましたら、気軽にお問い合わせください。