第8回 ゲートウェイを使って照明を外部から制御する /ゼロから始めるDALI制御

先日の記事で、DALIが他の照明制御と大きく違うということはコマンドを送って制御できることだということをご紹介しました。

PWMや位相、DMXなど照明制御と違い、DALIはコマンドという点が大きく異なります。DALIを理解するには、コンピューターのプログラミング概念を学ぶ必要があります。

その為に、DALIには直接明るさをコントロールするアドレスとは別にコマンドを送るアドレスがあり、前者はDAP(Direct Arc Power Control)といい、後者はIAP(Indirect Arc Power Control)と呼ばれています。

DALIは64台までの器具にアドレスを振り1台ごとに制御することができるのですが、実は1台の器具が2つのアドレスをもっているのをご存知でしょ...

アドレスをもっていること。そして、コマンドによって照明がコントロールできることで、DALI対応の照明器具は、外部から簡単にコントロールできるようになります。

ただし、外部とDALIとは別の通信方式(プロトコル)を持つネットワークになるので、それをつなげるためには「ゲートウェイ」という機器が必要になります。

今回はそのゲートウェイをつかってDALIにコマンドを送り照明を制御する方法について紹介します。

ゲートウェイについて

ゲートウェイについては、IPラーニングさんのサイトで下記の様に解説されています。

ゲートウェイとは、異なるネットワーク同士を接続するネットワーク機器の事です。単語本来の「玄関」という意味の通り、他のネットワークと通信する際に必ず通らなければいけない「接続ポイント」であると言えます。
ゲートウェイはプロトコル(通信のルール・規格)を変換し、異なるプロトコルを用いたネットワークを繋げる役割があります。

引用 : デフォルトゲートウェイとは | IPラーニング

ゲートウェイとは簡単に言うと「DALIと他の制御方式をつなげるための機器」といったイメージでしょうか。

設備側で他の制御方式といえば、KNX、DMX、LonWorksなどがありますが、現在それぞれのゲートウェイが製品化されています。

しかし、ゲートウェイの中でも私が注目しているのが、スロバキアのiLumTechというメーカーが販売しているDeeBridge(ディーブリッジ)という製品です。

TCP接続できるDALIとEthernetのゲートウェイDeeBridge

Ethernet to DALI Bridge

DeeBridge(ディーブリッジ)は、スロバキアのiLumTech社が開発したEthernetとDALIのゲートウェイです。

12Vの直流で起動、製品自体がネットワーク内でIPアドレスを持つので、外部からTCP接続で接続してDALIのコマンドを送ることができます。

DeeBridge

DeeBridgeの接続はこのようなイメージになります。

DALIのネットワークの信号線をDeeBridgeに接続し、DeeBridgeとルーターはLANケーブルで接続。サーバーには外部から動かすためのソフトウェアをいれ、サーバーとDeeBridgeはルーターを介してLANケーブルで接続する形になります。

DeeBridgeをゲートウェイとして使う意味

他の制御機器とのゲートウェイがいろいろある中でDeeBridgeを使うことの意味は、DALIを制御するハードルが一気に下がることです。

これはどういうことかというと、たとえば、DMX,KNX,LonWorksなどのゲートウェイを使う場合は、DMX,KNX,LonWorksについて理解していることと、それらの機器を持っている必要があります。

従来からDMX,KNX,LonWorksなどの機器を扱っていたのであれば、機器の準備はできますが、これから新たにやろうとする人にとっては、DALIに加えて知識の学習と、機器の準備が大きな負担になります。

しかし、DALIとEthernetのゲートウェイDeeBridgeでは、ソフトウェアやネットワークの知識があれば、あとは照明とDALIの知識を学習し設備を導入することで、照明を自由に制御することが可能です。

そういった意味で、今後、設備が種類やメーカーを超えてソフトウェアで制御される時代になるにあたり、TCP接続で直接照明を制御できるようになることは、時代の波にのる大きな意味があるのです。

ソフトウェア側からゲートウェイを通してDALIコマンドをおくる方法

Node-REDというオープンソースのツールを使うと仕組みが簡単につくれる

ソフトウェア側からDeeBridgeにDALIのコマンドを来る場合、1からプログラミングを書くことも可能ですが、現在はそれを簡単にできるようなサービスがあります。

その中でもオススメなのが、Node-REDというツールです。

Node-REDはIBMが開発したオープンソースのツールで、よく使う項目や機能についてはあらかじめ用意されており、そこに含まれていない部分を利用者が穴埋めしたり、補完したりする形で使うことができます。

…..と説明してみましたが、照明業界の人間にとっては意味わからないですよね。

なので、実際にやってみましょう。

インストールなどはハードルが高いので、実際にどんな風にDALIで照明をコントロールできるのかを紹介します。

Node-REDで照明制御のフローをつくる

まずは一番シンプルに、全部の照明を点灯させてみます。ちなみに、Node-REDでは、パーツ類をノードといい、それらを線でつないで仕組みをつくることをフローをつくるといいます。

では、照明を点灯させるフローをつくってみましょう。

Node RED

こちらが、照明を点灯させるフローです。赤い矢印が指している部分がボタンになっているので、ここをマウスでクリックすると…

最初は消えていたLEDが、

ノードをクリックすることで、

このように点灯しました。

まずはこちらの仕組みを説明しましょう。

「On」のノードはどんな風になっているのでしょうか? ノードをダブルクリックすると設定されている値が確認できます。

Node RED

Payloadと書かれている横に、#255,0とありますが、これは、このノードをクリックすると#255,5というデータが送られるという意味です。

その送り先は、線でつながれている矢印のDeeBridgeというノードです。

Node RED

さらに、このノードの内容を確認してみましょう。

Node RED

この意味は、これはTCP OUTというノードでIPアドレス192.168.0.22のポート8421に、#255,5というデータがTCP接続で送られるという意味です。

わけわかんないですよね。

簡単に言うと、DeeBridgeというゲートウェイに#255,5というデータが送られれるということです。

先日、「第6回ふたつのアドレスDAPとIAP」という記事で、コマンドについてご紹介しました。

DALIは64台までの器具にアドレスを振り1台ごとに制御することができるのですが、実は1台の器具が2つのアドレスをもっているのをご存知でしょ...

実はDALIでコマンドを送る場合は、16進数でデータがおくられるので、#255,5というのは16進数似直すと、#ff,05になります。

これは、先日の記事で表した下記の RECALL MAX LEVELのことなのです。

Where to Info
all RECALL MAX LEVEL
ff 05

ここまで理解できていてもできていなくても、次にいきます。 初心者がプログラミングを学習するときのコツは「理解しようとしないこと」です。次から次へと情報を頭に注ぎ込み、まずは下地をつくりましょう。

今度はこの照明を消すフローをつくります。

Node RED

このOffというノードからは、#255,0というデータを送っています。

Node RED

Where to Info
all OFF
ff 00

#255,0というデータがおくられると、16進数に治すとFF,00になり、これはDALIのコマンドで、全部の照明器具に対して消灯(OFF)を意味します。

さらに、こんなフローをつくってみました。

Node RED

それぞれのおくっているデータを表にしたのがこちら

Where to Info
01(RED) RECALL MAX LEVEL
03(GREEN) RECALL MAX LEVEL
05(BLUE) RECALL MAX LEVEL
07(6500K) RECALL MAX LEVEL

これは、RED、GREEN、BLUE、6500KのLEDのアドレスにそれぞれ、全点灯しなさいというコマンドをおくるノードをつくり、ノードをクリックすることで、ゲートウェイにDALIのコマンドを意味するデータが送られ照明を点灯させるという動きになります。

他にもシーンの呼び出しやグループでの制御もできるのですが、それはまた別の機会に紹介します。

まとめ

以上、DeeBridgeというゲートウェイとNode−REDというソフトウェア側のツールを使って、DALIのコマンドを送り照明を制御する方法を紹介いたしました。

DALIは仕様が公開されているという大きな特長があります。そこれにより、照明以外のシステムから照明を制御する場合、特別なシステムを新たに作ることなく、DALIで決められたコマンドにもとづきデータを送ることで、自由に照明を点けたり消したり調光したりといったことが可能になります。

だからソフトウェア側の人間にとっては自分でやりたいことをすぐにできるだけでなく、市場で販売されている商品を導入するだけで、すぐに実現できるというコスト的にもスピード的にも大きなメリットがあります。

中でもこのDeeBridgeはソフトウェアから送られたコマンドをDALIのネットワークに流してくれる、とてもシンプルで使いやすいゲートウェイです。

ところで、来る6月28日(水)に、西新宿にあるbit & innovationにおいて開催される Node-RED UG勉強会 Vol.5 「Node-RED x IoT」というイベントで、Node-REDを使ってDALIの照明を制御するということをお話ししてきます。

主催者の方にきいたところ、現在は満席でキャンセル待ちで入れるか微妙ということでしたが、ご興味ある方はチェックしてみてください。

# 更新履歴 日時 内容 2017/05/30 イベント公開 2017/06/12 タイトル追記 # 日時 2017-06-28(水)19:00 - 22:00 # イベントについて ハードウェアデバイス/APIおよびオンラインサービスを接続するためのツール、Node- RED。前回の勉強会で、いろい...
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中畑隆拓

照明制御が得意です。
Node-REDを使ってIoT機器の情報を読み込み、DALI-APIを叩いて制御しています。

今後、設備の制御はNode-REDのようなソフトウェアが中心になると実感していて、いろんなところで講演してます。

講演予定・実績一覧

DALIだけでなくKNXやModbus、Lonworksなど、設備制御について意見交換を行うSlackを作りました。参加希望の方は問い合わせフォームより連絡ください。

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