DALIは照明制御のオープンなプロトコルですが、あくまでも通信方式の仕様であり、現場から要望されるシステムとしての機能は持ち合わせていません。
例えば、
- タイマーで自動的に点灯・消灯などできるようにしたい
- タブレット端末から、どこの照明器具が点灯・消灯しているのかを確認できるようにしたい
といった機能的なことだけでなく、DALIの場合は信号線の距離が300m以内、制御する機器は64台以内といった制限があるので、
- 照明器具の台数が200台ある
- 5階建ての建物をひとつのシステムで制御したい
このように、制御する機器の台数が多くなるときやエリアが広くなる場合などは、DALIだけでは対応することができません。
なので、機能・数量・距離などがDALIで対応出来ない時は、DALIの上の別のシステムが必要になります。
現在、各社から現場で使いやすいよう、信頼して使えるようなシステムが提供されていますが、もし今後、DALIの上にもオープンな仕様のものでシステムを構築したいと考えた場合、「KNX」がおすすめです。
今回はオープンプロトコルを利用した照明制御システムについて、数量とエリア的に広くなる場合、DALIとKNXはそれぞれどんなシステムイメージになるのかということを紹介していきます。
* YouTubeに動画もアップしました。
DALIとKNXについて
DALIについて
DALI(ダリ)は照明専用の制御プロトコル。
DALIに対応した照明機器であれば、メーカーが違っていても同じシステムの中で制御が可能。
ただし、接続できる台数や信号線の長さに制限がある。
台数 | 信号線 |
---|---|
64台まで | 300m以内 |
KNXについて
KNX(ケー・エヌ・エックス)は国際標準の設備機器制御プロトコル。
KNXに対応したスイッチ、アクチュエーター、センサー、ゲートウェイなどが各社から販売されており、同じシステムで利用できる。
また、KNX-DALIゲートウェイという商品を使えば、KNXからDALIの制御もできる。
接続できる台数や信号線の長さにDALIと同じように制限はあるが、LC(ラインカプラー)やKNX-IP Router(ルーター)という機器を使えば拡張することができる。
台数 | 信号線 |
---|---|
64台まで | 300m以内 |
* ただし、LCやKNX-IP Routerを使えば拡張可能
DALIやKNXによる照明制御のシステム図
DALIのシステム図
DALIでは接続できる機器の台数制限が64台となっていますが、変更や追加のことなどを考えて、40台程度の照明器具の台数で収まる現場であればDALIだけによる制御が適しています。
ただし、冒頭に上げたようなタブレットでの状態確認やタイマーでの自動制御などの機能的な部分はDALIでは出来ないので、そういった要望があるときはKNXで検討したほうがよいでしょう。
KNXのシステム図
照明器具の台数が50台以上、フロアが分かれる場合やエリアが広いような物件にはKNXを使った制御をおすすめします。
簡単なOn/Offの照明制御しか必要なければKNXでもできますが、グループ分けしたりシーンを設定する場合には、「KNX-DALIゲートウェイ」という機器を使って、全体はKNXで制御するが照明器具はDALIによってコントロールするというシステムが便利です。
このときに注意することは、KNXで全体を制御する場合、照明を制御するスイッチはKNXにすることです。理由は照明が点いた・消えたといった状態の変更をKNXのネットワーク上の信号でやりとりする為です。
もし、DALIのスイッチで照明のオン・オフをすると、照明器具の状態の変更がKNXのシステムには送られないので、KNXで全体を管理したい場合には例外をつくってしまいます。
ちなみにKNXであれば「Time switch」という機器があり(下写真)、これをつかうと時間での制御がKNXのシステム上でおこなうことができます。
まとめ
以上、KNXやDALIを使った照明制御の方法と使い分け方について説明しました。
ドイツで開催されたLight + Buildingに行かれた方はKNXのロゴをいたるところでご覧になったと思いますが、ヨーロッパではKNXがオープンな設備制御のプロトコルとして普及しているため、機能的にもデザイン的にも数多くの会社から自分のもとめるKNX機器を選択することができます。
ひとつひとつを1品ものとしてカスタマイズで作るのではなく、カタログ品を探して組み込むことで、安価で拡張しやすいデジタルの設備制御がKNXを採用することですぐにでも導入することができます。
弊社では、KNX機器の輸入・販売だけでなく、導入にあたってのエンジニアリングはもちろん、KNXを使ってどうやってビジネスをしていくかのコンサルティングもしておりますので、KNXについて興味を持たれた方は気軽にお問い合わせください。