DALIを使った照明制御を行う場合、照明器具を点灯したり調光したりする命令をあたえる「マスター」と呼ばれる機器が必要になります。
他の制御方式だと全体を総合的に支配する「コントローラー」のようなイメージを「マスター」にもしてしまうのですが、DALIの場合は機器が信号線で流れてくる「コマンド」を理解し自分自身で判断して行動するので、単純にその「コマンド」、つまり「命令」さえ送ってもらえば、「マスター」は他にすることがありません。
なので、「マスター」は単なる「スイッチ」だけで済むのでシンプルです。
今回はその「マスター」の中でもDALI信号線から給電でき単体で利用できる「EUCHIPS」社のDALI Touch Panel Controller(ダリタッチパネルコントローラー)をご紹介します。
ご紹介している照明制御機器の詳細はこちら
製品仕様
![IMG_2953.JPG IMG 2953](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2953.jpg)
このマスターは、3つのグループに対して4つのシーンの呼び出しと真ん中の丸型のパネルを使って調光をすることができます。また、ALLというボタンを使えば全体にもシーンの呼び出しと調光が可能です。
![IMG_2954.JPG IMG 2954](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2954.jpg)
DALI信号線との接続は裏側にあります。
ディップスイッチが見えますが、ここから「動作する時のクリック音のオンオフ」「グループ番号」「シーン番号」が変更できます。グループもシーンもスタート番号しか変えられないのでそれぞれ連続した番号になります。
![euchips.jpg Euchips](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-Mastereuchips.jpg)
![euchips.jpg euchips](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-Mastereuchips-1.jpg)
![IMG_2956.JPG IMG 2956](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2956.jpg)
大きさは縦横が86mmパネルの厚さは10mmです。
![DALI Master.jpg DALI Master](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterDALI-Master.jpg)
グループとシーンが1台で使えるマスター
実はSunricherを始めこういったパネルタイプのDALIマスターを販売している会社はありますが、グループとシーンがひとつのパネルで利用でき、かつ、別の電源がいらずにDALI信号線だけで給電できる製品は、このEUCHIPSのこれしか今のところ知りません。(他にあればぜひ教えてください。)
なので、DALI器具とDALI電源、そしてこのマスターの3点さえあれば小規模のDALI物件は完結するので、他の調光方式も含めて十分コスト的に対抗できるDALI提案ができる製品です。
特におすすめしたいのが、Philipsの高天井DALI照明器具 GreenPerformとこのマスター組み合わせた提案で、DALI電源も菱形PSEを取得したCINCON(シンコン)という台湾メーカーのものをつかえば分電盤に機器をいれることなくDALI制御できるので、すごくおすすめです。
![DALI Master.jpg DALI Master](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterDALI-Master-1.jpg)
![PHILIPS GreenPerform3](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/706fcb2d8bb639ae8ae9dfc8af475e14-300x200.jpg)
![CINCON DALI電源](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/cincon.png)
![](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/06/b11af9ecd7c9d49d35b550398b16dfe0.jpg)
使い方(基礎編)
では、使い方をご紹介します。
![IMG_2958.JPG IMG 2958](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2958.jpg)
DALIの信号線にこのマスターを正常に接続すると真ん中の青いLEDが点灯します。
![IMG_2959.JPG IMG 2959](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2959.jpg)
この真中のスイッチを押してONにすると、前回オフをした直前の状態になります。写真はグループがALLでLEDは点灯していない状態です。
![IMG_2960.JPG IMG 2960](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2960.jpg)
ここで円形の調光パネルの一番白い部分をタッチします。するとLEDテープライトが明るくなりました。
![IMG_2961.JPG IMG 2961](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2961.jpg)
円形の真ん中ぐらいをタッチします。明るさが半分ぐらいになりました。
![IMG_2962.JPG IMG 2962](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2962.jpg)
写真の位置をタッチすると、かなり暗くなりました。
使い方(グループ)
今回使ったLEDテープライトは、RGBで3アドレス、6500Kの単色で1アドレスで合計4アドレスをつかっています。
EUCHIPSのマスターの使い方を紹介するために、GROUP1に赤、GROUP2に緑、GROUP3に青、そして6500Kはグループの所属なしにしました。つまり、DALIコマンドを送る対象をALLにしないと6500Kは操作できないということです。
グループ | LED(アドレス) |
---|---|
GROUP1 | RED(A0) |
GROUP2 | GREEN(A1) |
GROUP3 | BLUE(A2) |
所属なし | 6500K(A3) |
こちらは、Tridonic社のMasterConfigratorで設定した画面です。
![001.JPG 001](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-Master001.jpg)
では、操作してみましょう。
![IMG_2971.JPG IMG 2971](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2971.jpg)
まずは、GROUP1というパネルをタッチしました。すると、パネルの部分が青く点灯します。これがGROUP1に今後のコマンドを送る対象にしたという状態です。
![IMG_2972.JPG IMG 2972](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2972.jpg)
中央の調光パネルの一番白いところ(明るくなるところ)をタッチしました。RGBのLEDテープライトの赤が点灯しました。赤は先程の表にてGROUP1に設定してあるので、GROUP1だけに明るく点灯しなさいというコマンドが送られました。赤を消灯し次の操作に移ります。
![IMG_2973.JPG IMG 2973](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2973.jpg)
今度はGROUP2をタッチしました。青くボタンが光ります。
![IMG_2974.JPG IMG 2974](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2974.jpg)
調光パネルをタッチすると今度は緑のLEDが点灯しました。緑はGROUP2にしているので、正しくGROUP2が操作できています。では、緑を消します。
![IMG_2975.JPG IMG 2975](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2975.jpg)
今度はGROUP3です。
![IMG_2976.JPG IMG 2976](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2976.jpg)
GROUP3に設定してある青が点灯しました。
![IMG_2977.JPG IMG 2977](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2977.jpg)
GROUP1から3までで点灯しなかった6500Kはグループに所属していないので、ALLを選択すると点灯します。
![IMG_2978.JPG IMG 2978](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-MasterIMG_2978.jpg)
という様子を動画で撮りました。
使い方(シーンの呼び出し)
シーンは一律にシーン0:100%、シーン1:51%、シーン2:10%、シーン3:0%と設定しました。
![002.JPG 002](https://digital-light.jp/wp-content/uploads/2017/07/DALI-Master002.jpg)
対象をALLにすれば全部のLEDが指定されたシーンで点灯し、グループを指定すれば、指定したグループの器具だけが呼び出したシーンの明るさで点灯します。
まとめ
DALIは絶対的な何かがネットワーク全体をコントロールするようなものでなく、接続された各機器があらかじめ決められたことを、決められた形式で命令を受ければ、独自に判断して点灯したり消灯したり調光したりシーンで点灯したりするような分散型の制御システムです。
なので、それぞれの照明器具によって明るさを変更するといったようなシーンの呼び出しも、このEUCHIPS社のような簡易なコントローラーで呼び出したり、もしくはグループごとに明るさをグリグリかえたりといったことも、極めて少ないコストで実現することができるのです。
DALIって難しい?とか、DALIってお金かかる?という印象を持たれている方も多いとおもいますが、本当は「DALIは簡単(単純)」で「DALIは低コスト」な制御方式なので、ぜひ覚えておいてください。
ちなみに、DALIが難しかったり高いコストという印象を与えてしまった理由は、これまで日本国内でDALIが利用できる機器が限られていたからであって、その状況はかなり変わりつつあります。
今からでも、ぜひ、DALIを使った提案にチャンレジしてみてください。(私に仕事ください)