技能五輪 電工部門の国際大会にKNXが出題されると聞いて情報を集めております。
技能五輪国際大会で出題されるKNXの調査 No.1|デジタルライト(Digital-light.jp)
今回、第45回国際大会のKNX使用機器一覧表のデータをいただきましたので、どんな機器が使用されるのかを見ていきたいと思います。
第45回国際大会のKNX使用機器一覧
いただいた機器一覧は上のようなものになっています。
はじめてKNX機器を見た方はその機器が何なのか?というところから入るとおもうので,私の方で解説をしていきたいと思います。
LOGO/KNX ゲートウェイ 6BK1700-0BA20-0AA0
Product Details – Industry Mall – Siemens WW
独シーメンス社製の”LOGO!”というマイクロプログラムコンピュータとKNXのゲートウェイです。
つまり、日本ではPLCでつくっていたロジックをこのLOGO!を使ってつくり、このデバイスからKNX機器をコントロールするために利用すると考えられます。
推測ですが、このLOGO!用ソフトで作成したロジックによる制御先として、KNX側の”グループアドレス”を紐付ける仕組みかと思います。
KNX IPゲートウェイ 5WG1148-1AB22
独シーメンス社製のKNX IPゲートウェイです。先程の”LOGO/KNX ゲートウェイ”には、KNX信号を送受信する端子がありましたが、直接KNX信号を送受信できない機器と接続する場合はLANケーブルを使ってIP通信でやりとりします。
たとえば、ラズベリーパイでロジックのプログラムを書いて、それでKNX機器を制御する場合、このKNX-IPゲートウェイをラズパイを同じネットワークで接続し、ラズパイとKNX-IPゲートウェイ間をIP通信でやりとりすることで、KNX-IPゲートウェイからKNX信号を送受信するという仕組みになります。
KNXスイッチ用 単一ユーロボックス
ヨーロッパの規格のスイッチボックスです。ヨーロッパでは主に四角い”ヨーロピアンタイプ”と丸い”86タイプ”の2種類が使われています。
↓スイッチボックス
スイッチボックス – スマートライト株式会社
調光器 2 x 300W “3902 REGHE”
JUNG社の照明位相制御のアクチュエータです。位相制御に対応した白熱灯やLEDランプを制御するのに利用します。
こちらの製品は過去に検証しておりますので、下記の記事をご覧ください。
JUNG社KNX LED universal dimming actuator,3902 REGHEを検証してみた|デジタルライト(Digital-light.jp)
KNX プッシュボタン 2-gang
KNXのスイッチは、(バスカプラーユニット)とAM(アプリケーションモジュール)と言われるモジュールでわかれているものが多く、上のようにいくつかのパーツを組み合わせたりします。
ちなみに、BCUとはKNXの通信や動作に必要なマイコンが内蔵されているユニットで、AMは用途によって切り替えられるパーツのこと。この場合でいうと、スイッチのボタンが2つなのか4つなのかなどはBCUは共通でAMを変更することで可能になります。
↓ 別メーカーのスイッチの使い方の記事
【KNX】Jung社の位相調光器とSunricherのスイッチを組み合わせて使う方法|デジタルライト(Digital-light.jp)
KNXサーモスタットスイッチ
KNXのスイッチには、温度センサーと温度によって空調やヒーティングを動作させるためのサーモスタット機能が内蔵されているスイッチがあり、上記は”サーモスタットスイッチ”と呼ばれるものです。
私の方でもこのようなスイッチがあるので、近いうちに記事でご紹介します。
KNX Power Supply
KNX使用機器一覧表には2種類のKNX Power Supplyがありましたので、まとめて紹介します。
その1 : JUNG社 20320 REG
その2 : ABB社 SV/S30.320.1.1
KNXのシステムでは、信号線に電流を流すKNX BUS電源というものが必要になります。
これは30Vの直流で、各機器がデータのやりとりをできるようにするため必ず必要な機器です。
また、KNXスイッチなどは別途電源につながなくても、KNX BUS電源からの供給で動きます。
よって、他の制御システムでは信号線で1P、電源線で1Pd合計4本の信号線が必要なものもありますが、KNXの場合は1Pの2本で多くの機器が動作します。
(例外もあります)
KNX BUS電源には、160mA、320mA、640mAなどの電流値のラインナップがあり、電流を消費するKNXデバイスが何個使用されるかによって使い分けます。
上のKNX BUS電源はどちらも320mAのものです。
KNX多機能アクチュエータ- / KNXスイッチングアクチュエーター&KNXシャッターアクチュエター
KNXは設備ごとにアクチュエーターという機器がありますが、ひとつのデバイスで複数の機能をもったものが存在します。
それが、多機能アクチュエータです。
こちらは、スイッチングアクチュエーターとシャッターアクチュエータの両方の機能をもっているため、ここでまとめて解説します。
その1: KNX多機能アクチュエーター JUNG 2316.16 REGHE
その2; KNXスイッチングアクチュエーター ABB SA/S 8/10.2.1
その3: KNXシャッターアクチュエーター ABB JRA/S 2.230.1
上記機器は、通電・切断の機能をもつコネクターが複数ついている機器です。
その通電・切断を使い分けることで、照明(LED)のOn/Offや、シャッターの開閉、ブラインドの角度調整などを行うことができます。
↓ 多機能アクチュエーターの記事
KNXプッシュボタンインターフェイス 2-gang
KNX仕様でないスイッチをKNX対応にするためのインターフェイスです。
たとえば、日本でよく見る片切スイッチでKNXを制御したい場合、このインターフェイスをつかうことで、KNXの信号を送ることができます。
ETS ドングル
KNXの設定をおこなうには、KNX協会が開発・公開している”ETS”というソフトを使います。
ETS自体は無料でダウンロードできますが、プロジェクトで使用するデバイスの数によって、有料のライセンスを購入する必要があります。
ライセンスの種類は以下の通り。
ETS demo : 5台まで
ETS Lite : 20台まで
ETS Professional : それ以上
ちなみに、「KNX使用機器一覧表」には20台のデバイスでETS Proと表記されていますが、20台までならETS Liteのライセンスでプログラムできます。
ETSのドングルはMyKNXというサイトでアカウントをつくると注文できます。
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まとめ
以上、ざっくりと第45回国際大会のKNX使用機器一覧表をみながら、どんなデバイスなのかということについて解説させていただきました。
次回は課題の方もみていきたいと思います。
KNXについてのまとめページ|デジタルライト(Digital-light.jp)